複利攻勢

落ちこぼれ系会社員の投資ブログ

円貨決済か外貨決済か、それが問題だ

状況整理

今年は外貨決済で結構ガチャガチャと売買しています。 すると株式の損益だけでなく、ドルを取得した時のレートと手放した時のレートを比較して為替差損益を算出しなければいけません。

この件について以前記事を書いたことがありました。

dev4invest.hatenablog.jp

今年の為替差益は気がつくとかなり大きくなってしまったので、一度状況を整理したいと思います。

理由の 1 つはドルで待機中に円安が進んだ結果です。 例えば 132 円 で取得したドルを使って 137 円のレートの時に外国株を買うと、1ドルあたり 5 円の為替差益が発生します。 1 万ドル分の株を買ったら、計算上それだけで 5 万円の利益が出たことになります。

といってもその分だけ株式の取得価額が上がるので、株を売った時の利益(または損失)が 5 万円分下方修正されます。 つまり株側の損益からマイナスして代わりに為替差益に付け替えてるだけで、トータルで見ればプラマイゼロです。 損も得もありません。

ただ、これだけなら今年の為替差益はそこまで大きくならなかったはずです。

ドルで待機中に円安が結構進んだからといって、総額はそんなに大きくありません。 手持ちのドルを使い切ったら円をドル転するか株を売って新たなドルを調達することになり、その時のレートは株を買った時のように円安が進んだレートです。 そのドルを使ってまた株を買っても前回のように為替レートの差がないので、(ドルのまま待機させている間にさらに円安が進まない限り)為替差益も計上されないはずです。

でも実際のところはそれだけでは説明できないくらい為替差益が増えてしまいました。

2 つ目の理由は同日であっても売る時と買う時で為替レートが違うことです。 TTS や TTB ってやつです。 上で挙げた記事でも触れています。

株を買う時は円安のレート(円評価額が高く)、株を売る時は円高のレート(円評価額が低い)で計算されます。 取引報告書を見ると、例えば株を買う時は 138 円、売る時は 136 円と、上下に 1 円ずつで合計 2 円の幅があります。

1 万ドルで株を買ってすぐ同じ 1 万ドルで売ったとしても、2 万円譲渡損が発生します。 裏を返せば計算上ドルを高く売って安く買うことになるので、2 万円分の為替差益が潜在的に発生しています(発生するタイミングが株と逆なのに注意)。

もし 1 万ドルしか持ってなくても 10 往復分売買を繰り返せば、合計で 20 万円の株式譲渡損と 20 万円の為替差益になります。 最初に述べたように今年は取引回数が多いので、その分計上される為替差益も大きくなっているということです。

実際は必ずしも同じ日に売買するわけではありませんが、株式譲渡損と為替差益が生まれやすい構造であることがわかると思います。

脱税は犯罪です

外貨決済で株式譲渡損益と為替差損益が対になるので、トータルの損益には影響はありません。 しかし利益にかかる税率は異なります。

分離課税の株式は約 20% です。 また損失は 3 年間繰り越せます。

一方で為替差益は雑所得であり、総合課税となります。 累進課税により課税所得の額によって税率が変わります。 株式とは違い損失は翌年以降に繰り越せません。

総合課税の住民税は 10% とすると、所得税率が 10% を超えないうちは分離課税と同じか得になります。 課税所得が 330 万円未満だと所得税率は 10% 以下であり、 330 万円以上は 20% 以上になります。

給与収入のみの会社員(扶養家族無し)の場合、課税所得は年収 300 万円なら 110 万円、 年収 400 万円なら 170 万円、年収 500 万円なら 235 万円くらいのようです。 条件次第で色々と変わるので、あくまでも目安です。

このくらいの年収帯であれば為替差益で 100 万円くらいあっても、分離課税と比べて損にはならないようです。 課税所得が 195 万円未満なら所得税は 5% なので、住民税の 10% を合わせても合計 20% の分離課税よりお得なくらいです。 損失が繰り越せるか否かという点でも、為替差益に付け替えた方が有利です。 よかったよかった。

(給与収入における試算と比べ、社会保険料や給与所得控除がない分だけ課税所得にそのまま上乗せされるのには少し気を付けたいですね)

もし課税所得が 330 万を超えると税率は計 30% になってしまうので、分離課税の方がお得です。 だからその場合は株式譲渡損益を為替差益への付け替えがないように円貨決済の方がいいのかな?

……いや待てよ、円貨決済だとさっきの話は 138 万円で買った株を 136 万円で売っただけになるので、 普通に 2 万円損しただけ。 外貨決済なら 136 万円で得たドルを 138 万円の価値に変えて株と交換できます。 なので外貨決済なら何度も繰り返すことができるけど、円貨決済だと毎回 2 万円補填しないといけません。

課税所得が多く外貨決済による株式譲渡損益から為替差益への付け替えが発生して税率が増えたとしても、 円貨決済で単純に損するよりはマシですね。

たとえ課税されても利益が出る方がいいです。 為替差益が多いということは、それだけ円貨決済より多く株を買えたということですから。 円貨決済だと都度為替手数料も発生しますし。

……円貨決済だと TTS や TTB が違うとかないよね!?

まあ外貨決済のデメリットは為替差損益をちゃんと計算して申告しないといけないことですね。 それが面倒なら損を受け入れて円貨決済にしましょう。 (そもそも外貨決済してるのに為替差益を申告してない人が多そう)

7月の成績(5週目)

個別株を買ってポートフォリオを再構築しました。 株価は上がりましたが、上昇幅は円高で目減りしています。 詳細は 7 月の結果の記事で。

前回に続き FOMC で 0.75% の大幅利上げがありましたが、株式市場は大幅に上昇。 そのまま週末まで伸びました。

今月中盤以降は悪い指標が出てもあまり下がらず、逆にスルスルと上がってきています。 底打ちしたのかはわかりませんが、そろそろ反転してもおかしくない時期ではあります。

また下がる可能性も考慮しつつ、ついていくしかないでしょう。 仮にまだ下があったとしても、そんなに深くはならないと思います。