複利攻勢

落ちこぼれ系会社員の投資ブログ

米国株と為替の危ない話

具体的に書いてみます

特にバズっていたりしてたわけではありませんが、ふとした拍子に目にして気になった記事があるので考察してみました。😉

https://vesusan3.hatenablog.jp/entry/2020/01/12/151743vesusan3.hatenablog.jp

要約するとこうです。

米国株を取引する際は、ドルで付けられた値段を円換算して購入額や売却額を決めます。 その円に換算するレートが同日でも差があるため、上手く使えば実際は損してないのに株式の譲渡損失を計上して節税できます

本当にそうなのでしょうか……? 状況を詳しく確認してみましょう。🤔

証券会社にもよるとは思いますが、米国株の売却時はTTB為替レート、購入時はTTS為替レートが使用されます。 例えば売る時は 1ドル = 99円, 買う時は 1ドル = 101円 のように計算上の為替レートに少し差があるということです。

これによりドルで見た値段は同じなのに、売る時の円評価額は安く、買う時の円評価額は高くなるということです。🤯

記事にはこんな例が挙げられています。

1ドル100円の時に10000ドルの株を購入します。
10000ドル✕101.0(TTSレート)=1010000円

買った株を1ドル100円10000ドル(同じ条件)で売却します。
10000ドル✕99.0(TTBレート)=990000円

損益は「売却時の円換算した受払金額-購入時の円換算した受払金額」ですので、
990000円-1010000円=-20000円
となります。

取引する前後で手元には同じ 10,000 ドルがあるわけですが、なぜか株の取引上は 20,000 円 の損失が発生しています。 これを利用して確定利益と相殺すれば節税になるということが書かれています。

そこでまず円貨のみで決済したケースを考えてみます。

この場合は為替レートなんて気にする必要はありません。 単に円評価額を見ていくらで買っていくらで売ったのかだけに注目すればよいはずです。👀

上記の例だと 1,010,000円 で買った株を 990,000円 で売りました。 譲渡損益は -20,000 円です。

……。

あれ?普通に損してませんか? だって元は 101 万円あったのが 99 万円に減っています。 この99万円でもう一度101万円の株を買うことはできません。😢

どうやら節税できるというよりは単に利益が減って払う税金が減っただけのようです。 とあるハムスター🐹も一度も税金を払ったことがないと言って話題になっていましたが、 新しく損を生み出していては全く意味がありません。 節税ではなく余計な損が増えただけです。😅

既に抱えている含み損なら利益と相殺する意味はあるんですけどね。

続いて外貨で取引したケースを考えてみます。

円貨の場合と同じく、税計算上は 1,010,000円 で買った株を 990,000円 で売ったことになるので、 譲渡損益も同じく -20,000 円です。

しかし今回はドルで取引しており、 10,000 ドルから減っていません。 今度はもう一度同じ株を買いなおすことができます。 よって実際は損していないのに計算上は損したことになるので、何度も繰り返して既にある利益と相殺すれば税金 0 も可能です!😍

すごい!ヤバすぎる!あのハムスター🐹もビックリ!!!

実際は手数料がありますし、ドルベースの株価も変動するのでそう単純な話ではありませんが、理論上は可能に思えます。

例えば売買を繰り返して手数料が 10 万円かかっても計算上の譲渡損失を 100 万円計上できれば、 税金は約 20 万円安くなり手数料を考慮しても 10 万円分お得になります。😲

理論上は特定口座のあらゆる利益をこの売買で発生した譲渡損失で相殺できてしまいます。
しかし、節税目的の取引はグレーゾーンであり、実際に低位株での節税を多用した人が追徴課税になった例もあるので、気をつけましょう…とは言っても他に計算しようがないんですけどね。
短期で売買すると勝手に譲渡損失が積み上がって行きます。

元記事にもこう書いてありますが、やはり大っぴらにやれることではないようですね。 皆さんもやるならコッソリやりましょう。めでたしめでたし。🤗











で、終わっていい話じゃありません。😡

意図的かどうかは知りませんが、一つ大事な視点が抜けています。

そういう本当のやつはやめろ

この話は「同じ 10,000 ドルだから損していない」ということが前提になっています。 まさにポイントはここにあります。😎

勘のいい方はもう気付いたと思いますが、「そのドル、円にしたらいくら?」ということを考えてみましょう。

最初に 10,000 ドルを手に入れたときのレートは不明ですが、ここでは株を買ったときと同じレートということにしましょう。 つまり 10,000 ドル = 1,010,000 円 で購入したと仮定します。

そのドルを使って同じレートで株を買いました。 その後売った時は 10,000 ドル = 990,000 円 です。

同じ 10,000 ドルのはずですが、よく見ると取得費用が異なります。 最初は 1,010,000 円だったのに売買後は 990,000 円と安くなっています。

その差はちょうど 20,000 円。あっ…(察し)😇

この 10,000 ドルを使ってもう一度株を買うと、 990,000 円で入手したドルを手放して 1,010,000 円 の株を手に入れることになります。 ……もうおわかりですよね?😜

まだ「同じ 10,000 ドルじゃん???」と混乱する方は、 10,000 ドルじゃなくて株とかドングリとかお金以外の何か置き換えて考えてみましょう。

同じ 1 個のドングリが、あるときは 101 円、あるときは 99 円の値段が付きますが、 同じドングリなので価値は変わらない!!!とはなりませんね。

ドルは円と同じお金ではありますが、円から見たら他の資産と同様に価値が変動するものの一つでしかありません。

ドルを使って何かを買うということは、ドルを売って得た円を使って何かを買うことと同じです。 何かを売ってドルを得ることは、何かを売って得た円を使ってドルを買うのと同じことです。

なのでこの節税(?)の話は、ドルを売買しているという視点が抜けているんです。😤

990,000 円で買ったドルを 1,010,000 円で売ったら 20,000 円の利益が出ています。 そう、これは為替差益ですね。

為替差益を無視しているから成り立つ話なんです。🤪

「同じ 10,000 ドルだから損していない」ではなくて「同じ 10,000 ドルだけど得している」だったんです。

20,000 円の譲渡損失だけ計上して、20,000 円の為替差益だけ申告しない。 これは節税ではなくて脱税ですよね?

現場からは以上です。

余談:
現実問題として、ちゃんと計算している人はどれだけいるのか疑問ですし、 税務署側が漏れなく指摘するのは無理だろうと思います。

なので落としどころとして、ある程度簡略化したやり方が認められることもあるんだろうと思います。 以下の記事だと、税務署の人からは「面倒だから気にしなくていいよー」的な回答がいくつも載っています。🤨

tsumitatetheta.co.jp

ただ厳密に言えばアウトですし、公式見解としては「ちゃんと計算してください」とならざるを得ないでしょう。 上記の記事の回答はあくまで個人的な見解であって、別の税務署の人なら「ダメ」と言われてもおかしくない (というより本来はそっちが正しいはず)と理解しています。

為替の計算が嫌なら全部円貨で決済しておけばいいと思います。 (100万円しか出していないのに取得価額は101万円で計算されてる、100万円手に入れたのに売却額は99万円で計算されているとかでない限りは)

それでも面倒だからやらない、知らんぷりという人は

せめて自分が脱税者であり、犯罪者であり、国民の敵であるかもしれないという自覚と覚悟を持っていただくようにお願い申し上げます。🙇‍♀️

7月3週目の成績

じわじわと下がり続け、今月は遂に -11% に。🤮

年初来で見ても振出しに戻ってしまいました。 ここからさらに 10% 下がるより前にはどこかで反発するとは思いますが、どうなることやら。🥺